大崎市岩出山に大きな河川があるのをご存知でしょうか?その名も「 内川 」。伊達政宗公によって作られた歴史的にも貴重な川です。
その歴史的・機能的な価値から「世界かんがい施設遺産」や「世界農業遺産」の認定に大きく関わっています。
内川のおかげで大崎地域の農業が発展し、現在でも地域住民のココロを癒しています。
この記事では岩出山「内川」の歴史とその価値、実際の様子について 写真たっぷりで お伝えします。内川の歴史を知ったら、散歩するのがもっと楽しくなるかもしれません!
岩出山「内川」について
内川は今から約400年前(1591年)に、仙台藩初代藩主・伊達政宗公によって作られました。土地を切り開いて作った人工河川となります。
当時の岩出山にはお城があったため、城を守る役割と農業に必要な水を管理することが目的でした。
近年には国営や県営のかんがい排水事業(※)で「第1号幹線用水路」として整備され、農地に必要な水を運ぶ用水路として大切にされています。
かんがい排水事業:農業で必要な水の確保・供給・排水を適切かつ安全に行うための工事事業
内川が支える田んぼや畑は3,300ヘクタール にも及びます。これは 東京ドーム700個の大きさに匹敵 する大きさです。
伊達政宗公がつくった人工河川が、現在でも私たちの生活を支えている のですね。
農業だけではなく、川が流れていることで岩出山の町の景観や生物の多様性、人々の憩いの場としての役割も果たしています。
改修工事の際、内川の自然的そして歴史的な価値を守るため、「天然石による石積み護岸」「川沿い樹木の保存」「水際線の保持」などに配慮して整備されたそうです。
学問の道
内川には、川に沿って遊歩道や公園が設置してあります。1.7kmにも及ぶ遊歩道や公園は、住民の交流の場や観光客のお散歩ルートとして活用されています。
内川近くに、現存する日本最古の学問所「有備館」があることから、この遊歩道は「学問の道」と名付けられました(京都府にある「哲学の道」にならっているそう)
2006年には「全国疎水百選」に選ばれ、観光名所にもなっています。水の恵みは地域にとって貴重なものであり、後世に受け継いでいく遺産として、住民が保全活動に取り組んでいます。
内川と「世界かんがい施設遺産」
内川は2016年に「世界かんがい施設遺産」に認定されました。“かんがい”とは、水路をつくって田畑に必要な水を引き、土地を潤すこと。
世界かんがい施設遺産は、かんがいのために作られた価値ある施設や仕組みを世界的に認定する仕組みです。
〇歴史や発展がはっきり分かり、適切な保全で後世に受け継いでいくことが目的
〇建設から100年以上経過したもので、「かんがい農業の発展に貢献したもの」「卓越した技術により建築されたもの」など、歴史的・技術的・社会的に価値ある施設を認定・表彰
東北では青森県の稲生川に次いで2例目となります。
400年以上の歴史がある画期的な水管理のシステムが、世界的に認定されることは地域の大きな誇りですね。
内川と世界農業遺産「大崎耕土」
また、内川は「大崎耕土」でも重要な要素となっています。
内川がある大崎地域は水田地帯として発展してきましたが、太平洋特有の冷たい季節風による冷害や洪水・渇水の被害が多い地域でした。
そんな厳しい環境下でなんとか食料を維持しようと「水」の管理にさまざまな知恵や工夫をして発展してきたのが大崎耕土 です。
内川の水は、下流にある「大崎耕土」を潤しています。
大崎耕土は2017年に、世界的に重要な農業システムとして「世界農業遺産」に認定されました。
伝統的な農業によって育まれ、維持されてきた土地や技術・文化・生き物などを“生きた遺産”として次世代に繋いでいく取り組みです。日本では大崎耕土をふくめ、11地域の認定があります(2018年時点)
内川をはじめとした長年受け継がれてきた水管理システムが、大崎耕土を世界農業遺産の認定に結び付けた のですね。
内川と周辺の様子
さて、ここからは実際の内川の様子を見ていきましょう。
筆者が内川を撮影したのは9月上旬。ギラギラの太陽と30℃以上の気温でしたが、川沿いは少しだけ涼しげでした。
途中途中にある木陰で休みながらの散策です!
内川親水公園
〒989-6435 大崎市岩出山浦小路100
今回は「内川親水公園」からスタートしました。遊歩道を通って有備館方面へ歩いていきます。遊歩道は場所によって幅がちがいます。木が多い場所は落ち葉が溜まっていたりしますが、川のせせらぎを聞きながらゆったりと散策を楽しめます。
地元住民による保全活動が定期的に行われていることが分かります。川も綺麗で、トリ・ムシ・サカナなど多様な生物を目にしました。
ベンチが設置されている場所もあり、休憩しながら散策することも。
内川は自体が大きい川ではありますが、用水路や小川からの水が流れてきます。まち・田んぼ・畑などの排水に重要な役割を果たしているのですね。
また、至るところに水の管理を行うシステムを見かけます。それぞれどんな役割を果たしているのか考えてみると楽しいですよ。
内川に流れ着く小川や排水路はまちの中でも目にすることができます。とくに住宅に沿って流れている排水路はきちんと整備がされていて風情があります。
ちかくには旧有備館など観光地として有名なスポットもあるため、案内板が多く設置されています。まちの中心部にも徒歩で行けるので、買い物がてら散策するのもいいかもしれませんね。
お祭りなどのイベントに合わせて訪れるのもおすすめです!
歩みを進めていくと徐々に城下町のような光景に。岩出山にはもともと岩出山城があったため(現在では城跡・公園)この辺りは歴史感じる雰囲気になっています。
内川の散策をしながら、有備館や城跡をめぐるのも素敵です。
また途中には、川の “ほとり” に作られたカフェがあります。
内川を眺めながら店主様自慢のドリンクとお食事をいただくことができますよ。
※お店の許可を得て撮影・掲載しています
わたしはルイボス(アイス)をいただきました。セットでついてくる「大豆のクッキー」が美味しすぎて驚きました!冬季期間はホットのみの提供となるそうです。
宮城のブランド米や地元の野菜を使用したフードメニューもあるので、ランチにもぴったりですよ!
岩出山をはじめとした大崎地域の歴史本などもあり、店内でゆっくりと読書することもできちゃいます。
帰り道も、来るときとは違った風景を楽しむことができます。
内川の散策は1時間~2時間程度でまわることができますし、途中でまちへ抜けることも可能です。
ゆったり、のんびりとした時間を過ごせるので、一人でも、友達・家族と一緒でも楽しめるスポットですよ。
ただし、雨の翌日などは川が増水している可能性もあるので、晴れの日が続いたときがおすすめです。ぜひ一度訪れてみてくださいね!
内川まとめ
内川の歴史や世界的価値、実際の様子についてお伝えしてきました。
大崎地域は米どころとして有名ですが、お米の生産に必要不可欠な「水」。内川の水は、人々のお腹とココロを満たしてくれています。
世界でも認められる歴史ある河川として、今後も大切にしていきたいですね。
大崎地域のみなさんも遠方の方もぜひ一度、内川を散策してみてください!以上、内川の歴史と実際の様子でした!
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